
面接でのやり取りや履歴書の自己PRによく出てくる「協調性があります」というフレーズ。
一方で、あまり良い印象のない「同調性」という言葉もあります。
「同調圧力」などで使われることが多く、協調性とは真逆なイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
今回は、この「協調性」と「同調性」についてのお話です。
「協調性がある」の本当の意味
私が総務で部長をしていた頃、面接官として応募者の履歴書を拝見する機会が多くありました。
その中でも、この「協調性があります」という言葉は本当によく見聞きしました。
一見すると、誰とでも仲良くなり、相手と調和を合わせてものごとに取り組む姿勢。そんな素晴らしい印象を受けます。
しかし、当時の私は心の中では
「協調性の意味を、きちんと理解しているのかな?」
とつぶやいていたものです。
せっかくこの記事をご覧いただいているので、あなたに質問をしてみたいと思います。
Aさんは会議の際に、Bさんの提案に対して違和感を持っていました。
自分の意見とは少し違ったのですが、会議の進行やBさんの機嫌を気にして、Bさんの提案に賛成しました。
さて、このときAさんが持っていたのは、協調性でしょうか?それとも同調性でしょうか?
スクロールをちょっとだけ止めて、少し考えてみてください。
はい、この場合のAさんが持っていたのは……
同調性です。
ざっくりとした違いをまとめると、次のようになります。
協調性: 自分の意見を持ちつつ、相手を尊重して建設的に話を進めること。ときには妥協案を出し、協力関係を築く姿勢。
同調性: 自分の意見を持たず、相手の意見に合わせて従うこと。
ここでポイントになるのが、「自分の意見を持つかどうか」。
先ほどのAさんは、自分の考えがあったにもかかわらず、単にBさんの提案に合わせただけ。
つまり「同調」しただけなんですね。
この点を勘違いしている人は、意外と多いように思います。
協調性のような同調性
私の経験上、会社の中では「協調的に見える同調」が多く存在します。
たとえば、上司の意見に逆らうと波風が立ちそうだから、「まあ、そうですね」と合わせてしまう場面。
その場はスムーズに終わりますが、本当は誰も納得していないということがよくあります。
結果として、後になって小さな不満が積み重なり、職場の空気が重くなる。そんなケースを何度も見てきました。
本当の意味での協調性とは、ときには相手の意見に自分の意見をぶつけて、建設的に話し合うこと。
そのためには、相手の話をきちんと聞き、なぜそう考えているのかを理解しようとする姿勢が必要です。
「自分が正しい」と押し通すのではなく、「どうすればお互いに納得できるか」を一緒に探す。
それが、協調性の本質ではないでしょうか。
協調性がもたらす本当の価値
そう考えると、協調性を発揮するにはかなりのエネルギーが必要です。
ときに熱のこもった議論になることもありますよね。
しかし、そうしたやり取りの中にこそ、相手を理解し、自分を成長させる機会があるのだと思います。
本当に協調性のある社員が多い会社では、会議そのものが活気にあふれているはずです。
一人ひとりが意見を持ち寄り、ときにぶつかり合いながらも最終的には「より良い答え」に向かっていく。
そんな空気のある職場は、少々のトラブルがあっても強いチームとして成長していきます。
しかし現実には、「上が言っているから、納得いかなくても仕方ない」と考えてしまう人も少なくありません。
まとめ:総務としての協調性
総務という立場上、どうしても「調整役」になる場面が多く、波風を立てないように動くことが求められるからです。
けれども、「穏やかに見える組織」が必ずしも「良い組織」とは限らないのです。
意見を出し合える環境こそ、健全な職場の証。
協調性とは、決して「何も言わない優しさ」ではなく、「相手を尊重しながら意見を交わせる勇気」なのだと思います。
少し堅い話かもしれませんが、こうして言葉を掘り下げてみると、「協調性」という言葉にはそれだけの重みがあると感じます。
改めて、自分の中に「協調性」はあるのか。それは本当に自分の長所なのか。
少し立ち止まって、考えてみるのも良いかもしれません。
「協調性」とは、単なる「合わせ上手」ではなく、自分の意見を持ち、相手を尊重しながら歩み寄る力。
それが、本当の意味での協調性なのかもしれません。
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