
テレワークという働き方が広まりだいぶ時間が経過しました。
しかし、導入していた会社が廃止をすることも増えてきています。
そこにはどのような原因があるのでしょうか?
これからテレワークの導入を検討している会社へ、私が総務で経験したテレワークを導入する際のメリットとデメリットについて解説していきます。
実は導入が難しい?テレワークの落とし穴
テレワークの導入後、さまざまな弊害に悩まされる会社が増えつつあります。
特に新型コロナウイルスが猛威を振るっていた時期には、「隔離」や「非接触」が重要視されましたが、現在では生産性や健康面の影響が課題として浮き彫りになっています。

参考:総務省「統計調査データ:通信利用動向調査:報道発表資料」
総務省の「統計調査データ:通信利用動向調査:報道発表資料」によると、2021年をピークにテレワークを導入している企業が減少傾向にあるようです。
なぜ、テレワークを導入する企業が減少しているのでしょうか。
当初、柔軟な働き方の一環として注目されましたが、まずはテレワークの導入によって考えれるデメリットについて詳しくみていきます。
テレワークを導入するデメリット
テレワークは社員の働き方を柔軟にするメリットがある一方で、導入後にさまざまな課題が生じることがあります。
その主な理由を以下に挙げます。
生産性の低下
多くの企業がテレワークを見直す理由の一つが、生産性の低下です。
本来、働く場所を選ばないテレワークですが、一見通勤時間の削減や出勤できない時でも仕事ができることで、生産性が上がると考えられます。
しかし、先に導入していた大手企業でもテレワークを廃止する動きが見受けられます。
それには、生産性の低下が要因であると考えられています。
社員の集中力の低下
テレワークを行う場合、仕事の管理は基本的に本人に任せる形になります。
一人での仕事環境では適度な緊張感が保ちにくく、さらに、自分で業務ペースをコントロールできる反面、自然と『甘え』や『さぼり』が増える可能性があります。
その一方で、『監視システム』を導入した場合でも、逆にそれがプレッシャーとなり集中力が削がれるケースがあり、持続的な集中力の維持が難しい側面があります。
このような経験はありませんか?
周りの目が集中力の維持に役立つ
残業中に、ふと一区切りついたものの、周りの社員がまだ仕事をしていると「もう少し頑張ろう」と思った経験はありませんか?
これは、良い意味で周りの目を意識していることから起こる感情です。
この周りから見られている適度な緊張感は集中力の維持に繋がり、仕事の精度に影響を与えます。
テレワークでは、周囲の目がないため、このような集中力の維持が難しく「もうひと頑張り」が起こりにくい環境とも言えます。
コミュニケーションの頻度減少
職場ではちょっとした会話や相談がスムーズに行えますが、テレワークではメールやチャットなどのツールを介する必要があり、細かいニュアンスが伝わりにくいことがあります。
また、出勤時は気になることがあれば隣の人にすぐに聞くことができますが、テレワークでは毎回ツールを立ち上げたり、限られたモニタースペースを圧迫してしまうため、時には質問と同時に作業が難しくなることもあります。
結果として、効率が悪くまた、お互いの認識のずれなど効率低下を招く場合があります。
必要な書類や設備が不十分
会社にいる場合、古い書類の確認や印刷、スキャンなどは簡単に対応できます。
しかし、テレワークの場合は持ち帰る書類には限度があり、また、設備が不十分であると対応が物理的に難しい場合があります。
さらに、会社では付箋やハサミ、メモ用紙などの備品が豊富である一方、テレワークを行うときには備品が十分でなく煩わしさを感じることもあります。
備品を探す際に、作業が一旦ストップしてしまうこともあり効率の低下に繋がってしまいます。
こんなことも生産性の低下に繋がる?
出来ないことへのストレスによる生産性の低下
会社では当たり前のように出来ていたことが、自宅などの社外では出来ないことが多くあります。
印刷やスキャン、あるいは会社でモニターを2つ使っている人にとってはノートパソコン1台で作業することが煩わしいと感じるかもしれません。
こうした、普段当たり前のように出来ていたことがテレワークでは出来ないことによって、スムーズに業務が行えなくなり集中力の低下とストレスを抱えてしまいます。
その結果、社内で作業するよりも生産性が低下してしまう懸念があります。
作業環境による健康被害
テレワークを行う際、普段のオフィスとは環境が大きく違います。
さまざまな点が異なり、それらが身体的、精神的に悪影響を及ぼすこともあります。
身体の不調
オフィス内では、作業がしやすい机や椅子があります。
しかし、テレワークの場合は作業を前提とした十分な設備が整っていないことがあります。
長時間の不適切な姿勢が腰痛などの身体的負担を引き起こす場合があります。
この点は、会社側の目が届かないため、身体不調を訴えて初めて分かることが多いです。
どうしてもテレワークを行う社員に依存してしまうため、環境を把握することが難しいです。
社員はどのような環境で仕事をしている?
思わぬ場所で仕事をしていたことが発覚
私が実際に経験した話ですが、テレワークを行っていた社員がある日「腰痛が酷くてつらい」とクチにしていました。
出勤しているときはそのようなことは全くなかったのですが、詳しく聞いてみるとその社員は作業スペースが確保できなかったため「食卓のテーブル」で仕事をしていたようです。
また、椅子も食事用のものを使っていたためクッション性などの影響で長時間座りっぱなしによる腰痛を発症してしまいました。
このように、会社として目が届かず把握しづらい点も注意が必要ですね。
メンタルケアの重要性
他の社員と会話をしながら業務を進めていくことで、社員の一員である実感が得られます。
しかし、テレワークは人との接触が減り、「疎外感」や「孤独感」を感じることもあります。
特に、メールやチャットなどのテキストを基本としたやり取りでは、人とのやり取りがより希薄になり無機質な感覚になるため、精神的負担を感じることもあります。
また、業務上の迷いや愚痴などの何気ない会話がなくなってしまうため、ストレスを発散できる機会も少なくなってしまいます。
勤務状況の把握が困難
出勤すればタイムカードや直接の確認で勤務状況を把握できますが、テレワークでは始業や終業の確認が難しい場合があります。
特に、残業時間の適正な判断が難しくなります。
勤怠管理システムの導入有無に関わらず「仕事の終わり」が判断しづらく場合によっては、残業時間を過剰に申告してしまうかもしれません。
勤務状況は給与へも影響するため、適正な判断による適正な給与の支給に支障を与えてしまう可能性があります。
設備や通信のトラブル対応が困難
この点が一番のデメリットと言えます。
テレワークを行う際には、インターネットなどのインフラ設備は本人側の環境に依存するため、通信速度やセキュリティ面が会社基準に満たない場合、業務効率が低下することもあります。
通信速度が遅いと処理スピードに影響し、セキュリティ面の脆弱は情報漏洩や外部からの攻撃の危険性があります。
また、トラブル発生時には、本人が直接対応するため業務自体がストップしてしまい、解決のための知識がなければ復旧すらできなくなります。
トラブル対応は特に大変
問題の特定に時間がかかる
こちらも私が実際に体験した実話です。
テレワークをしていた社員から「通信が切れた」と連絡がありました。
社内であれば直接確認ができますが、テレワークだとそうはいきません。
そのため、パソコンやルーターなどの確認を「電話越し」にしなければならず、これが想像以上に難しいです。
パソコンは会社支給であればイメージは湧きやすいですが、ルーターは社員自身のものなので、仕様をイチから聞かなければなりません。
問題が起きている部分を特定するだけでもとても時間がかかり、また、作業が出来ない空白の時間が増えてしまいます。
このように、テレワークを行う際にはさまざまな解消すべきことがあります。しかし、逆に言うとこれらが解消されればスムーズな導入と運営になるともいえます。これらを記事最後にまとめているので、テレワークを導入する際の注意点として意識して頂ければ幸いです。
テレワークを導入するメリット
これまで、テレワークに関するデメリットを整理してきました。
一方で、この働き方にはメリットも存在します。
ここでは、テレワークがもたらすプラスの側面について触れていきます。
社内のスペース圧迫の緩和
社員数が増えると、作業スペースが物理的に足りなくなることがあります。
例えば、新しい社員を採用したくても、オフィス内に席が用意できなければ難しくなる場面も考えられます。
テレワークを取り入れることで、一部の社員がオフィスを離れて働けるようになり、スペースを有効活用できることもあります。
いつまでテレワークをする?
テレワーク期間を想定しておく
社内スペースが圧迫している会社では一人分のスペースでも空けたいものです。
テレワークを始める社員がいれば、一人分の席が空くことになります。
このとき「テレワーク期間」を把握しておくことが重要です。
この点を意識しなければ、テレワークから通常の出勤スタイルに戻ったときに席がないということになりかねません。
始めるタイミングがあると同時に「終わりのタイミング」も想定してスペースの有効活用をしなければなりません。
出勤困難時でも業務可能
災害や育児、介護といった理由で出勤が困難になるケースがあります。
このような状況でも、テレワークを活用すれば業務を継続できる場合があります。
特に、昨今の天災により出勤が困難になるケースが多く見受けられます。
台風、豪雪、地震など年間通してどのタイミングで影響が出るか判断しづらくなっているため、あらかじめテレワークの準備を進めておくことも、急な変化に対応しやすくなるメリットがあります。
採用面で有利
求職者の中には、柔軟な働き方を重視し、テレワークが可能な企業を選ぶ人も増えています。
近年、特に「完全テレワーク」を提供できる企業は、地理的な制約を受けずに優秀な人材を採用する機会が広がっています。
この点は、企業にとっても大きな強みとなるでしょう。
しかし、デメリットでも説明した通り、テレワークを前提とした採用には、テレワークでの業務が効率的という実績が必要です。
自社社員でうまく運営ができれば採用面にもきっと大きな強みとなるでしょう。
最後に
テレワークにはメリットとデメリットが混在しているため、導入を検討する際には、両方の側面を理解することが重要です。
それぞれのポイントを踏まえ、会社の現状や社員のニーズに合った形を模索することが、最終的に働きやすい環境づくりにつながります。
テレワークの導入を「正解」か「不正解」かと決めるのではなく、自社にとっての最適な働き方とは何かを見つめ直す機会として捉えてみてはいかがでしょうか。
最後に私が実際にテレワークを導入から運用まで携わっていたときに感じたことを基に、「テレワーク導入の注意点」としてまとめています。
導入を検討している会社や総務の方へ、少しでも役に立てば幸いです。
テレワークの健全な働き方は、会社にとって大きな貢献度となります。
是非とも導入できる範囲で取り組んでみても良いのではないでしょうか。
テレワーク導入の注意点
産性が低下しないための準備
・社員の集中力を持続させるための対策:適度な緊張感を持たせて業務を行う工夫
・円滑なコミュニケーションができる仕組み:メールやチャットだけではなく実際に声が聞こえる形にするなど
・社内環境に近づける努力:備品や小型コピー機などの支給により社内環境に近づける取り組み
作業環境の聞き取り(※重要)
・作業を行う場所や設備:椅子や机は座り作業に適しているものを使っているか
・社員自身の設備の聞き取り:パソコンやルーターなどの仕様を事前に聞いておく。可能な範囲でトラブル対応マニュアルを作成する
メンタルヘルス対策
・定期的な交流の場を設ける:昼休憩時にZoomやGoogle meetなどのリモートツールを活用し交流を図るなど
勤務状況の把握方法を考える
・業務の始業と終業をどのように把握するか:勤怠管理システムの導入や毎日の始業、終業の確認電話を入れるなど
テレワークの準備は災害などの急な出勤困難時にも有効です。会社が行う防災対策も一緒に検討を。
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