【強震モニタ】会社の防災活動に強震モニタを活用する方法とメリット

強震モニタ

昨今、日本では地震が頻発し、大規模地震による被害も増えています。

特に出勤中や勤務中の社員の安全を守るためには、企業として防災対策を整えることが欠かせません。

本記事では、地震発生の揺れを事前に察知できる「強震モニタ」の仕組みと、会社の防災活動に活用する方法をご紹介します。

なぜ強震モニタが会社の防災活動に役立つのか

強震モニタは、無料で利用できる便利なツールです。

2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに知った方も多いでしょう。

しかし、実際に会社の防災対策に活用している企業はまだ多くありません。

強震モニタを導入することで、

揺れを数秒前に察知
余震の発生を早期に把握

社員の安全確保や被害の軽減につながります。

本記事では、その仕組みと効果的な活用方法を解説します。

揺れが来る前にできること:強震モニタの利便性と使い方

強震モニタは、地震発生時に震源地や規模、震度を瞬時に通知してくれる便利なツールです。

さらに、地震によって生じる「地震波」を可視化できることが最大の強み。

つまり、今いる場所に揺れの波がいつ到達するのかを確認することができます。

これにより、社員はわずかな時間でも次のような行動を取ることが可能です。

揺れに対して身構える
安全な場所へ素早く移動する
周囲の人に注意を呼びかける

これらの行動によって、けがの防止や混乱の回避といった効果が期待できます。

強震モニタはどこで使える?PC・スマホ・アプリでの確認方法

強震モニタは、パソコンのブラウザ上で確認できるほか、スマホに専用アプリをインストールして利用することもできます。

さらに、スマホアプリの中にはスマートウォッチと同期できるものもあり、手元で揺れの到達を知ることができるため非常に便利です。

強震モニタは国内外の複数の機関から提供されていますが、特に信頼性が高いのが防災科学研究所によるものです。

本記事では、この防災科学研究所が提供する強震モニタを例に解説していきます。

【webサイト】

防災科学研究所 強震モニタ:https://www.bosai.go.jp/

【アプリダウンロード】

P波とS波とは?揺れを感じる順番と取るべき行動

地震波とは地震が起きることによって生じる振動の波です。

強震モニタで可視化される地震波にはP波とS波の2種類です。

P波(Primary wave)

・先に到達する地震波
・「カタカタ」と少し揺れを感じる程度
・S波より先に来るため備える時間を与えてくれる

S波(Secondary Wave)

・P波の次に到達する波
・大きなエネルギーをもって「ドン」と大きな揺れ
・実際に被害をもたらすのは主にこのS波

画像は2024年8月8日に起きた日向灘の地震時の強震モニタです。

青色の円がP波、赤色の円がS波で分かりやすく確認することができます。

強震モニタ

どの指標を見れば良いのか

強震モニタをスマホにインストールすると、地表や地中、PGAやPDVなど、いろいろな表記があります。

最初はどれを見れば良いか迷うかもしれませんが、まずはデフォルト表示のPGA(Surface)を確認すれば十分です。

用語の一部を下記に掲載しておきますが、より詳しい情報は防災科学研究所のwebサイトをご確認ください。

リアルタイム震度

防災科研が開発した逐次的に計算される目安の震度を表示します。
揺れの全体の記録から計算される震度にほぼ一致するという特徴があります。

最大加速度(PGA)

強震計が実際に観測している揺れの加速度の1秒毎の最大値を表示します。
3方向(北―南、東―西、上―下)をベクトル合成した波形の最大値となります。

最大速度(PGV)

揺れの加速度を積分して得られる速度の1秒毎の最大値を表示します。

最大変位(PGD)

揺れの加速度を2回積分して得られる変位の1秒毎の最大値を表示します。

速度応答(0.125、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0Hz)

各周波数成分についての速度応答波形(減衰5%)の1秒毎の最大値を表示します。
低い周波数(0.125 Hz側)はゆっくりとした揺れ、高い周波数(4.0 Hz側)は 速い揺れの強さを示します。

参考:国立研究開発法人 防災科学技術研究所 強震モニタについて より

震度と体感、周りへの影響

地震が起きたとき、最初に「どれくらい揺れるんだろう」と震度が気になると思います。

日本の震度表記の指標は0~7までを10段階に分けて記しています。

強震モニタで震度の速報値が報告されたときに、

どれくらい揺れるのか
想定される被害はどれくらいか

を瞬時にイメージできるため、事前確認は大事ですね。

震度ごとの体感や行動、室内外の状況については、下記の通りです。

震度階級:0

 体感・行動
人は揺れを感じないが、地震計には記録される。

震度階級:1

 体感・行動
 屋内で静かにしている人の中には揺れをわずかに感じる人がいる。

震度階級:2

 体感・行動
 屋内で静かにしている人の大半が揺れを感じる。
 眠っている人の中には目を覚ます人もいる。

 屋内の状況
 電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。

震度階級:3

 体感・行動
 屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる。
 歩いている人の中には揺れを感じる人もいる。
 眠っている人の大半が目を覚ます。

 屋内の状況
 棚にある食器類が音を立てることがある。

 屋外の状況
 電線が少し揺れる。

震度階級:4

 体感・行動
 ほとんどの人が驚く。
 歩いている人のほとんどが揺れを感じる。
 眠っている人のほとんどが目を覚ます。

 屋内の状況
 電灯などのつり下げ物は大きく揺れ棚にある食器類は音を立てる。
座りの悪い置物が倒れることがある。

 屋外の状況
 電線が大きく揺れる。
 自動車を運転していて揺れに気付く人がいる。

震度階級:5弱

 体感・行動
 大半の人が恐怖を覚え物につかまりたいと感じる。

 屋内の状況
 電灯などのつり下げ物は激しく揺れ棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。
座りの悪い置物の大半が倒れる。
 固定していない家具が移動することがあり不安定なものは倒れることがある。

 屋外の状況
 まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。
 電柱が揺れるのがわかる。
道路に被害が生じることがある。

震度階級:5強

 体感・行動
 大半の人が物につかまらないと歩くことが難しいなど行動に支障を感じる。

 屋内の状況
 棚にある食器類や書棚の本で落ちるものが多くなる。
 テレビが台から落ちることがある。
固定していない家具が倒れることがある。

 屋外の状況
窓ガラスが割れて落ちることがある。
 補強されていないブロック塀が崩れることがある。
 据付けが不十分な自動販売機が倒れることがある。
 自動車の運転が困難となり、停止する車もある。

震度階級:6弱

 体感・行動
 立っていることが困難になる。

 屋内の状況
固定していない家具の大半が移動し倒れるものもある。
 ドアが開かなくなることがある。

 屋外の状況
 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。

震度階級:6強

 体感・行動
 立っていることができず、はわないと動くことができない。
 揺れにほんろうされ動くこともできず飛ばされることもある。

 屋内の状況
 固定していない家具のほとんどが移動し倒れるものが多くなる。

 屋外の状況
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。
 補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。

震度階級:7

 体感・行動
 立っていることができず、はわないと動くことができない。
 揺れにほんろうされ動くこともできず飛ばされることもある。

 屋内の状況
 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし飛ぶこともある。

 屋外の状況
 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる。
補強されているブロック塀も破損するものがある。

参考:国土交通省気象庁 気象庁震度階級関連解説表 より

震度表記の最大値:震度7以上がないのはなぜ?

震度は揺れを表す指標と同時に、揺れが発生した場所の被害状況を把握する目安として設定されているため、震度7以上になると被害が甚大であることが想像できることから、震度7以上は設けられていないです。

ちなみに、震度7の事例として、2016年の熊本地震や1995年の阪神・淡路大震災があります。

強震モニタを支える全国の観測地点

強震モニタの精度を支えているのは、全国に広がる観測網です。

全国約1,000か所に約20km間隔で強震観測施設を設置
約700か所では地表と地中の両方に強震計を設置し立体的に計測
これらの観測データは防災科学研究所の強震観測網(K-NET・KiK-net)からリアルタイムで配信

この仕組みにより、地震が発生した瞬間から全国の揺れを即座に把握できます。
強震モニタを確認することで、

揺れが到達する前に心構えができる
危険な場所から移動する判断ができる

といった行動に役立ちます。

ここからは、実際に起こる可能性がある巨大地震について見ていきましょう。

会社が備えるべき迫り来る巨大地震

日本近郊では、数十年から数百年の間隔で巨大地震が起きています。

これらの巨大地震、実は近い将来に起きる可能性があるといわれています。

南海トラフ地震
日本海溝・千島海溝地震
相模トラフ地震
南西諸島海溝地震

地震は完全な予知はできないと言われています。

しかし、これらの地震には過去に発生した時期から周期性が考えられるものもあります。

しかも、多くの地震が近い将来に起こると言われており、日々の防災意識を高めておくことがとても大切ですね。

「トラフ」と「海溝」の違い

過去の地震を見る時に「〇〇トラフ」や「〇〇海溝」と表記の違いがあります。

この違いは、

トラフ:水深6,000m未満
海溝:水深6,000m以上

と、水深によって区別しています。

つまりトラフよりも海溝の方がより深く、そんな場所が日本近海には多くありますね。

南海トラフ地震

南海トラフの地図

地震の周期:概ね100~150年

 直近の発生年:1944年・1946年

駿河湾から日向灘にかけて広がるプレート境界。南海トラフは日本経済にも大きな影響を与えるとされ、企業にとって最大級のリスクといえます。

日本海溝・千島海溝地震

千島海溝、日本海溝の地図

日本海溝地震の周期:概ね30年~40年

 直近の発生年:2011年

千島海溝地震の周期:概ね300~400年

 直近の発生年:1611~1617年

特に2011年の東日本大震災では津波により甚大な被害が発生し、サプライチェーンや企業活動に深刻な影響を与えました。

相模トラフ地震

相模トラフの地図

地震の周期:概ね180~590年

 直近の発生年:1923年(関東大震災)

東京や首都圏直下で発生する恐れがあり、都市機能が停止するリスクが高い地震です。

南西諸島海溝地震

西南諸島海溝の地図

地震の周期:規則性なし

沖縄・奄美を含む南西諸島で津波被害が懸念される海溝型地震。観光業や物流網に影響を与える可能性があります。

首都圏直下型地震

東京湾北部断層帯や東南海プレートが関係し震源が浅いため、東京都心やその周辺に被害が及ぶとされています。

M7.0以上の規模で発生する恐れがあり、都市部での建物倒壊、交通麻痺、火災などが予想されています。

中央構造線断層帯

長野県、岐阜県、滋賀県など日本列島を南北に貫く大規模断層で、M7.0~8.0規模の地震が懸念されています。

広範囲にわたる建物やインフラの損傷、大きな人的被害が予測されます。

南部・東海地方の活断層

東海地方(東海・東南海・南海プレート境界沿い)の活断層。

ここは複数の活断層が関わっているため大規模地震が予測されています。

津波や建物倒壊のリスクが高く、名古屋や静岡などの都市部に大きな影響がある可能性が高いです。

強震モニタを会社の防災に役立てる

強震モニタの最大の利点は、地震波が到達するタイミングを可視化できることです。

緊急地震速報は「地震が起きた」という事実を伝えてくれますが、

揺れの強さ
揺れの到達までの時間

を即座に把握することはできません。

一方で強震モニタを使えば、数秒の余裕を利用して、

社員に注意喚起する
危険な場所から離れる
機械や作業を一時的に止める

といった行動につなげることが可能です。

また、防災訓練の一環として、社員全員もしくは部署ごとに誰かがスマホへインストールしておけば、「実際にどう役立つか」を体験でき、社内の防災意識向上にもつながります。

揺れる前に注意喚起

地震発生時に、強震モニタをみると地震波を目で確認することができます。

自分がいる場所がどのくらいで揺れるかを確認することができるため、例えば、脚立や踏み台を使い作業をしている人へ降りるよう促すこともできます。

さらに、最も有効なことが「身構える」ことができることです。

数秒前に気付くことで気持ちを落ち着かせる

何の前触れもなく突然揺れが起こると、慌ててしまいパニックになる人もいるかもしれません。

慌ててしまうと、周りの声や状況を冷静に認識できないものです。

すると、平時であればすぐに行動できることも、初動が遅れ後手に回ってしまうかもしれません。

例えば、

電話回線は使うことができるか
給湯室のガス漏れなどはないか
外出先の社員は無事か

など、気にする余裕がなくなってしまいます。

揺れの数秒前でも分かっていれば、気持ちの準備ができます。

もしかすると「思ったほど揺れなかった」と少し余裕を持つこともできるかもしれません。

こうしたちょっとの差で、総務としての対応や初動が大きく変わってきます。

危険は場面を避けることができる

事前の注意は、大きな揺れによって危険な場所にいる人に気付かせ、安全な場所へ移るよう呼び掛けることができます。

高い場所で作業をしている人
書類が多い棚の近くにいる人

などは、大きな揺れによって脚立や書棚の転倒で怪我をするかもしれません。

ほんの数秒前でも揺れがくることを知れば、その場からサッと安全な場所へ移ることができるかもしれません。

怪我をするかしないか、この差はとても大きく、本人はもちろん、その後の会社の業務にまで影響してきますね。

こうしたリスクを回避する確率を上げることも、事前に揺れがわかるメリットといえます。

すぐに反応することが大事

強震モニタの存在をみんなが知っていることが大事

揺れがくることを事前に伝えても、強震モニタの存在を知らないと、

え?なんでわかるの?

と質問され、行動に移る前に揺れが始まってしまいます。

これでは事前の注意喚起の意味がありませんね。

大事なことは、誰かから知らされて瞬間的に「強震モニタを見ていたんだね」と感じ、行動に移すこと。

もし、社内で強震モニタを防災に使う際には全員に強震モニタの使用を認知してもらうことが大前提です。

規模の大きい地震後の余震の察知

近年、大きな地震が起きると、数時間から数日以内に余震が起きるケースが増えています。

特に大きな本震があった後は「次の揺れが来るかもしれない」という意識を持ちやすくなるため、冷静な行動に繋がります。

そのような時に、強震モニタを見ていると規模の小さな地震が立て続けに起こることを確認することができます。

さらに、大き目な地震に対しての心の準備もできますね。

強震モニタは、単なる地震予測だけでなく、心理的な備えもできるため冷静な判断がしやすくなります。

注意喚起によって平常心をキープできる

私自身、スマホに強震モニタアプリをインストールし、地震発生時に周囲へ注意喚起を行った経験があります。

地震が発生したときに、地震波の伝播を確認し社員へ「3秒後に少し揺れるので注意して」と声をかけたことがあります。

その結果、実際に揺れを感じましたが、社員たちは大きく動揺することもなく、冷静に対処していました。

身構えていたことでパニックを防げた事例でした。

まとめ:強震モニタを活用した企業の防災対策の重要性

強震モニタは、地震発生の揺れを数秒前に察知し、社員の安全確保や被害軽減に役立つ非常に有用なツールです。

無料で利用できるうえ、スマホやPCで簡単に確認でき、会社の防災活動に積極的に取り入れる価値があります。

特に、P波とS波の違いや震度の意味を理解することで、揺れが来る前の適切な行動判断が可能になります。

強震モニタを活用した注意喚起は冷静な初動対応につながり事故や混乱を防止できます。

企業として日頃から防災意識を高め、強震モニタを活用した対策を進めることで社員の命と会社の事業継続を守りましょう。

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