
中小企業の人材の採用は年々難しくなっています。
労働人口の減少や、求職者の働き方の希望が多様になり、企業としても柔軟に対応しなければなりません。
本記事では、過去100件以上の面接を経験した私が、時代とともに変化したポイントや、面接時に特に注意すべき点を解説します。
求職者が選ぶ時代
2024年時点での有効求人倍率は1.3前後で、求職者1人に対して複数の求人があります。
十数年前までは企業が求職者を選ぶ立場でしたが、今では求職者が「どの企業に入るか」を選ぶ立場にあります。
まずはこの点をしっかりと意識し、認識を変えることが大切ですね。
こうした傾向が10年以上に渡り続いているため、企業は「どうすれば求職者に選ばれるか」を考え、自社の魅力や強みをきちんとアピールしなければなりません。
特に、多くの応募者が集まりにくい中小企業には、一人ひとりの対応がとても大切になり、重要なポイントにもなります。
有効求人倍率推移グラフ

面接は会社の魅力を伝える場
面接は「採用する求職者を選ぶ場」から「求職者に選んでもらう場」に変わりつつあります。
中小企業は、大手企業に比べて知名度や待遇面で劣ることが多いため、会社のビジョンや成長機会、福利厚生、職場の雰囲気などを具体的に伝え、ピンポイントで「会社の強み」をアピールすることがとても重要になっています。
この点が、求職者の入社意欲を高められるかのポイントになります。
求職者が聞きづらいことを先に伝える
面接では、給与や残業、働き方など、求職者が聞きづらい質問がいくつかあります。
そのため、求職者が気にするであろう点は、会社の概要説明時に先に伝えることで安心感を与えることができます。
求職者の関心事はほとんど共通しており、求人票に記載された内容でも、改めて説明することが大切です。
場合によっては、会社にとって不利な情報の共有に感じるかもしれませんが、実際には「隠す」方が逆効果になることが多いです。
ポジティブな内容だけを伝えると、逆に不自然に感じられることも。
全てを話すことで「誠実」な会社だと感じてもらい、良い印象を与えることができます。
例えば、「定着率」や「離職率」、「昇給・賞与」や「有給取得率」などは良く質問されます。
他にも「社内イベントの有無」や「残業・繁忙期の有無」などもありますね。
しかし、最も大事なことは「なぜ求人を出しているか」です。
これは求職者からみれば「退職者がいたから?」と思うと同時に「職場環境が良くないのかな?」と連想してしまうからです。
この点を丁寧に説明することが、求職者への安心感に繋がります。
なぜ全てを伝えないといけないのか?
求職者にとって、面接時に得られる会社の情報は限られています。
限られた情報量で求職者が会社をイメージすると、認識の不一致が起こることもあります。
採用後に「聞いていなかった」「入社前に伝えて欲しかった」と言われ、早期に退職した社員もいました。
そうならないためにも、会社の情報はできるだけ多く伝え、認識が双方一致しておくことが重要です。
面接時に不利になるかもしれない、と感じる情報を知るタイミングが、入社前と入社後では、その影響が大きく異なることを理解しておくことが大切です。
早期退職は現場への影響が大きい!
業務教育担当者の負担増を防ぐ
就社後に、認識の違いによって早期に退職されることは、現場の業務教育担当者にとってもとても負担になります。
通常業務と兼任しながら教育をしてくことはとても大変ですね。
そこに、3ヵ月間で辞められると、いままで費やした時間が無駄になってしまいます。
そのため、業務以外の会社情報、特に福利厚生面は相違がないよう面接時にできるだけ伝える努力が必要です。
入社を左右する要素「社内見学」
面接の最後に社内見学を希望する求職者は少なくありません。
オフィスの雰囲気や働く社員の様子を見て、自分がその環境で働くイメージを持つためめ、面接よりも入社の判断を左右する要素かもしれません。
そのため、社内の整理整頓や、社員の対応も気を付けなければなりませんね。
すれ違う社員が無愛想だったり、職場が散らかっていたりすると、「ここでは働きたくない」と思われてしまうかもしれません。
面接時だけでなく、普段から職場の雰囲気を意識しておくことが、良い採用につながります。
既存社員の一言が印象を決める
面接官だけでなく、社内の人の何気ない一言が求職者の印象を左右することがあります。
たとえば、社内見学のときに配属予定の部長がすれ違いざまに「面接お疲れ様です」と声をかける、社員が元気に「こんにちは」と挨拶をするなどは、求職者の評価が大きく上がることもあります。
そのような体験は求職者にとって「あの人の下で働くのか」と、より具体的に職場のイメージを抱かせることができるため、面接官以外の社員との瞬間的な交流も大きくプラスに働きます。
求職者は会社の雰囲気を敏感に感じ取るため、社員全員が採用活動の一部であるという意識を持つことが大切です。
“その時だけ”では対応できない!社内の挨拶は普段の社風を映し出す
社内見学のときだけ、自然に挨拶をすることは案外できないものです。
声をかけるタイミングや声のトーンなど、普段から慣れている会社とその時だけ行う会社では、明らかに違和感があります。
これは、私自身も面接後に社内見学で現場に行ったとき、普段寡黙な社員の挨拶はどこかぎこちない印象を受けました。
おそらく応募者へも伝わっていたと思います。
そのため、普段から挨拶やコミュニケーションを自然な形で行う社風はとても大事ですね。
面接で求職者を見極めるポイント
スキルより「人間関係」
中小企業では「即戦力」を希望することが多いですね。
しかし、業務スキルが高くても、職場の人間関係が悪ければ長く働くことはできません。
特に中小企業では、少人数の職場だからこそ人間関係の影響が大きく、トラブルが発生しやすいです。
求職者のコミュニケーション能力や協調性を見極めることが、採用成功のポイントになります。
面接では、求職者がどのような環境を希望しているのかを丁寧に聞き出し、既存社員との相性を見極めることが重要です。
本当に良い人材は市場に出にくい
業務スキルが高く経験が豊富であり、さらに人間性も良い人材は転職市場に出ないケースがほとんどです。
そのような人材はすでに既存の企業で良いポジションに就いていることが多く、仮に転職活動をしていた場合でも給与面で折り合わないことがほとんどですね。
そのため、中小企業では「即戦力」よりも「長く働いてくれる人」を基準に採用をした方が良いでしょう。
教育や研修を整備:スムーズな教育システムの構築
即戦力になる社員を採用することが困難な昨今、このような状況では人間性を重視した採用が人員補充の可能性が高いですね。
しかし、それには社内の「教育システム」を作っておくことが大切ですね。
どのような人材であっても、スムーズに業務を習得できるシステムが整備されていることが前提であり、形にはめることで教育担当者の負担も軽減されます。
落ち着いている人ほどよく観察する
面接を多くしていると、ときには「場にそぐわないほど冷静」な求職者にあたることがあります。
一見、落ち着いている人は好印象ですが、面接の場で極端に緊張しない人には注意が必要な場合もあります。
「慣れ」と「余裕」
面接慣れしている人は、受け答えが上手でも本音が見えづらいこともあります。
そんなときは、質問を意識的に深堀して本当に自社に興味があるのか、単に次の選択肢を見越しているだけなのかを見極める必要があります。
面接官が聞き役に回る時間を多くとり、求職者が話し手になるような質問を意図的にすることも有効ですね。
「数打てば当たる」型の応募者
求人が多い今の時代、数多く応募し、内定が出たところに決める人も。
このような求職者は、あなたの会社に特別な興味があるのではなく、転職することだけを考えていることがあります。
深く考えないあまり、採用後に違和感があると、すぐに辞めてしまうことも。
早期の退職は現場にも負担がかかるため、求職者の表情や受け答えは慎重に観察しましょう。
他人に興味がない
あまりプレッシャーを感じず面接の場でも落ち着きのある人のなかには「他人に興味がない」ことも。
他人からどのように思われても気にしない性格に多いですね。
このような求職者を採用すると、協調性に欠けるため、チームワークを重視する職場では摩擦が生じやすくなります。
面接時に相手への関心や共感が薄いと感じた場合は、より注視した方が良いでしょう。
採用に迷ったときの判断基準
採用を決める際、スキルや経験は大切ですが、それだけで判断するとミスマッチが生じることがあります。
たとえば、能力が高くても既存社員との相性が悪いと職場の雰囲気が悪くなり、早期退職につながることも。
そのため、「部署に馴染めるか」「相性は良さそうか」といった点も重視し、スキルや経験だけでなく、人間性や社内との相性も考慮することで、定着率の向上につながります。
迷ったときは、長期的に活躍できるかどうかを基準にするのも一つの手ですね。
最後に
採用活動は企業の将来を左右する重要な要素です。
求職者に選ばれる企業になるためには、給与や待遇の改善だけでなく、職場環境の整備や採用プロセスの見直しが必要です。
また、面接官の教育や事前準備、社内の雰囲気作り、求人内容の魅力アップなど細かい点にも注意し、企業の魅力を最大限に伝え、長く働いてもらえる人財を採用しましょう。
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