
最近、多くの中小企業が人手不足という課題に直面しています。
この問題を放置すれば、企業の成長が鈍化し、さらに既存社員の負担も大きくなります。
こうした状況下では、会社を支える総務の役割がより重要になっています。
本記事では、これからの時代に合った職場環境と、中小企業が直面する課題、その解決策について解説していきます。
人材確保がますます難しくなる時代
日本の人口は減少が続いており、それに伴い労働力人口も年々減少しています。
総務省統計局のデータ(2023年10月1日時点)によると、1971年~1974年の第二次ベビーブーム世代(50歳前後)と20代の人口を比較すると約2/3に減少しています。
この人口構造の変化は、企業の人材確保にどのような影響を与えるのでしょうか。
人材の取り合いが激化する
人口が減少すると、まず採用が難しくなることが大きな課題になります。
単に求職者の数が減るだけでなく、限られた人材を企業同士で奪い合う状況になるため、求人条件での競争が激化します。
特に給与や福利厚生の面では、大企業と中小企業の間で大きな差が生じやすく、中小企業ほど人材確保が難しくなる傾向があります。
残業規制・繁忙期対応の課題
2020年4月から「働き方改革関連法」により、残業時間の上限が原則として月45時間・年360時間と定められました。
このため、いままで長時間労働に頼っていた企業は、強制的に労働時間を削減しなければならなくなりました。
「時間をかければこなせる業務」ができなくなり、特に繁忙期に必要な人員を確保できない場合、業務が回らず残業規制の上限を超えてしまうかもしれません。
人材不足を前提とした会社運営
採用が年々難しくなっている今、「人が足りなくなったら採用する」という前提の経営は危険ですね。
特に、人手が必要な営業職では、人材の確保がますます困難になるでしょう。
このような状況では、社員一人あたりの業務を簡素化することが重要です。
また、業務効率化だけにとらわれず、人材確保の方法を柔軟に考えることも、総務の大切な役割といえます。
AI・業務効率化の必要性
これからの時代、「社員が減ったら採用すればいい」という考え方は通用しません。
AI技術の発展は目覚ましい昨今、いかに人間の手を使わすに業務が進められるか考えることも必要ですね。
実務に活用できる便利なツールが増えているので、AIに任せることができる作業は積極的に任せることも業務効率化の基本といえそうです。
例えば、
などは、AIを活用することで迅速かつ正確に処理できます。
こうしたツールを積極的に導入し、業務の負担を減らしましょう。
業務効率化については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
【着眼大局】どう進める業務効率化?悩める総務のための業務効率化の見付け方と進め方
未経験・シニア・外国人採用の現実
新たに人材を採用する際、多くの企業は「経験者」や「特定の年齢層」を求めます。
しかし、こうした人材は他社も狙って採用をしているため、競争が激しくなるのが現実ですね。
そのため、
といった、業務フローを見直し、採用の窓口を広げるなどの柔軟な対策をすることも大切。
人材確保が難しい時代だからこそ、工夫と柔軟な発想が必要ですね。
副業人材活用の現実性
近年、副業を認める企業が増えています。
フルタイムでなくても働ける人材を活用する選択肢も有効ですね。
このような業務は、副業人材に任せることで解決できます。
加えて、先述した残業時間の上限規制を考慮すると、短時間勤務の人材をうまく活用することが、人手不足のカバーにつながるでしょう。
アウトソーシングの活用
首都圏を中心に、特定業務を請け負うアウトソーシングサービスが増えています。
例えば、
といった業務は、外部に委託することで人手不足を解消できます。
アウトソーシングは正社員雇用ではないため、人件費を経費として処理できるというメリットもあります。
総務が主導して、どの業務を外注すべきか判断し、最適な委託先を選定することも、重要な役割の一つです。
人材が定着する会社にするには
人材を採用する際、増員と欠員補充の2つのケースがあります。
増員の場合は事前に計画を立てることができますが、退職による欠員補充は急募となり負担が増えてしまいます。
そのため、社員が定着し、離職しにくい会社づくりが重要です。
国が求める「生産性の高い企業」へ
2025年4月より「改正雇用保険法」が施行されました。
この改正の一部として、失業給付の給付制限が2か月から1か月に短縮されます。
そのため、このメリットを利用し、退職者が増加するかもしれません。
さらに、転職先は、生産性が高く福利厚生が充実した企業へ人材が流れると予測されています。
転職者へ、自社の魅力をしっかりアピールできる企業づくりが人材採用のカギですね。
【転職加速】2025年4月以降に転職社員が増える?改正雇用保険法の説明と会社の重要課題
福利厚生の充実化
社員にとって福利厚生の充実は、社員満足度の向上や定着率の改善に繋がります。
しかし、いままで慣習的に行ってきた、無駄な飲み会や参加率の低い社員旅行などは、かえってストレスになることも。
そのため、無意味なものは思い切って削減し、誕生日休暇や表彰制度など、誰でも喜ばれる福利厚生を強化することが重要です。
他社との給与や待遇の比較
最近では、社員の賃上げが社会的なトレンドとなっています。
もし自社の賃金が同業他社よりも低い場合、定着率や採用面で不利になる時代です。
同業他社のwebサイトの求人ページを確認するなど、自社の賃金がどれくらいの水準なのか、実際に他社と比較して把握しておくことが大事です。
働き方の柔軟性
例えば、育児や介護との両立を支援するためにフレックスタイム制やテレワークを導入するなど、柔軟な働き方を整えることが求められています。
そのため、社員の希望に応じた柔軟な対応ができる体制を整えておくことが大切です。
普段は行わない場合でも、社員からの希望があった際にスムーズに対応できるよう、準備しておきましょう。
ハラスメントのない職場作り
社員が辞める理由として「職場の人間関係が悪い」という点が上位に挙げられます。
人間関係の悪化は退職に直結しやすいため、職場環境のハラスメント対策は定着率に大きな影響を与えます。
社歴や年齢、役職に基づく偏った態度や言動が職場内で無意識に発生していないか、定期的にチェックする体制が求められます。
経営者の意識改革が必要
人材確保がますます難しくなっている中で、企業は人手に頼らない業務体制と社員の離職を防ぐ職場作りの両面からアプローチしなければなりません。
しかし、最も重要なのは、経営者の意識を変えることです。
総務は、経営層に対して「変化の必要性」を伝え、企業の未来を支える重要な役割を担っています。
企業のビジョン共有
企業の理念やビジョンを社員全員で共有し、会社が社会にどのように貢献しているか、働く目的は何か、今後どこに向かっているかを明確にすることが大切です。
このような意識付けを行うことで、社員は会社の方向性に共感し、離職の可能性が低くなり、定着率が向上します。
経営層と社員の温度差が離職を生む
人手不足が進む時代において、会社の在り方を経営層だけが考えていても十分ではありません。
会社は経営層だけで動いているわけではなく、現場社員の努力があってこそです。
そのため、経営層は現場の課題に目を向け、社員に寄り添った対応をすることが重要です。
社員と経営層の温度差をなくし、共に問題を解決する姿勢が求められます。
経営層もアップデートを
経営層の役割は、会社が進む方向を正しく舵取りすることです。
そのためには、社会の最新トレンドを把握し続けることが求められます。
社内に閉じこもっていては、社会の流れに取り残されてしまいます。
社外の研修やセミナー、情報交換ができる交流会などに参加し、最新情報を社内に取り入れて発信することが必要です。
最後に
いかがでしたでしょうか。
最近の採用市場は非常に速いペースで動いており、採用の難易度が一層高まっています。
このような課題に対応するためには、会社全体を俯瞰し冷静に判断できる総務が、経営者をサポートし、的確な提案を行えるようになることが重要です。
この役割は決して簡単ではありませんが、総務職にとって最高の「やりがい」となるはずです。
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